🌀 東洋医学の「気」とは何か
―「エネルギー」とは少し違う、本来の意味―
現代の東洋医学では、「気」という言葉が誤解されがちです。
「気=エネルギー」と説明されることもありますが、実はこれは昭和の時代背景に根ざした“翻訳”のようなものです。
🔸 昭和当時の背景と「エネルギー」表現の普及
昭和期、日本の鍼灸界では「経絡治療」が広まり、東洋医学の基礎が再構築・体系化されました。
その際、「気の流れ」や「気の偏り」を一般にも伝える手段として、「エネルギー」という表現が用いられました。
当時としては先進的かつ説明的な言い方だったのです。
しかし時代は変わりました。
今日、「エネルギー」という言葉はスピリチュアルやオカルトと結びつくことも多く、逆に本来の意味から遠ざけてしまうことがあります。
🔍 「気」は科学的な言葉ではない
― でも、だからこそ身体全体を表現できる ―
「気」は古代人の身体観・生命観から生まれた言葉です。
科学のない時代に、経験や観察をもとに人の体の働きを表現した知恵の産物です。
「気」が指し示すもの(例)
呼吸 → 肺気
消化・吸収 → 脾気・胃気
体温の調整 → 陽気・衛気
免疫的な防御反応 → 衛気
疲労や元気の有無 → 正気・元気
冷えや熱の反応 → 陰陽のバランスとしての気の現れ
つまり「気」とは、身体の働きの総称であり、
呼吸・消化・代謝・循環・防御といった「生命活動そのもの」を表現する言葉です。
🧭 「気」をどう理解するべきか
科学で説明しきれないからこそ、「気」という言葉が必要だった。
「気」はエネルギーでもスピリチュアルでもない。
むしろ、身体全体の機能と連動した生理的な概念。
現代の我々にとっても、違和感を持つ必要はない。
ただの“昔の言葉”ではなく、生きた身体感覚を表す用語。
✅ 結論:
『気』とは、東洋医学における「いのちのはたらき」
科学用語ではなく、人間の生命をまるごと捉えるための言葉
エネルギーではなく、呼吸・食事・熱・冷え・体調といった
すべての「いまの身体の状態」を表現している
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